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ノミダニ予防を徹底しよう!動物病院と市販薬の違いとスポット剤の仕組み
【目次】
暖かい季節が近づくと、愛犬や愛猫のノミダニ予防が気になりますよね。「予防って本当に必要なの?」「市販薬でもいいんじゃない?」と思う飼い主様もいるかもしれません。そこで今回は、ノミダニ予防の大切さと、市販薬と動物病院の処方薬の違い、スポット剤がどうやって効くのか、そして最近話題の「SFTS」という病気について分かりやすくお伝えします。さらに、最近注目されている「チュアブル錠」についてもご紹介いたします。
ノミダニ予防ってなぜ大事?
まず、ノミやマダニがペットにもたらすリスクをおさらいしましょう。ノミはかゆみやアレルギー性皮膚炎を引き起こし、吸血で貧血を招くこともあります。特に子犬や子猫では命に関わる場合があります。マダニはもっと厄介で、バベシア症(犬に貧血を起こす寄生虫)やSFTS(後で詳しく説明します)といった重い病気を媒介します。室内飼いでも、飼い主さんの服や靴にくっついてノミダニが家に入ってくることがあるので、油断は禁物です。予防をしっかりすることで、ペットも人も安心して暮らすことができます。
市販薬と病院の処方薬、どう違うの?
ノミダニ予防薬には、ホームセンターやペットショップで手軽に買える市販薬と、動物病院で処方される薬があります。「安いなら市販薬でいいかな?」と思うかもしれませんが、実は大きな違いがあります。
効果の強さと持続性
動物病院で処方される薬は、ノミやマダニをほぼ100%駆除する高い効果が特徴です。例えば、スポット剤や食べるタイプの薬は、投与後1ヶ月間しっかり効き続けます。一方、市販薬は駆除率が60~70%程度と低く、効果が持続する期間も2~3週間と短めです。マダニへの効果が弱いものも多く、完全な予防には頼りない場合があります。
安全性とペットへの適合性
病院の薬は獣医師がペットの体重や健康状態に合わせて選びます。例えば、アレルギーがある子や妊娠中の子には使えない薬もあるので、プロの判断が安心です。市販薬は自分で選ぶ必要がありますが、成分や用法を間違えると副作用のリスクがあります。実際、「市販薬を使って皮膚が赤くなった」という相談が病院に寄せられることもあります。
コストの本当の意味
市販薬は安く見えますが、効果が弱い分、頻繁に使う必要があったり、病気になってから治療費がかかったりすると、結果的に高くつくこともあります。病院の薬は最初は高く感じるかもしれませんが、確実に予防できます。また、獣医師に相談すれば、ペットの生活環境や体質に合った薬を選んでもらえます。
スポット剤ってどうやって体に浸透するの?
ノミダニ予防でよく使われる「スポット剤」。首の後ろに数滴垂らすだけで効くなんて、不思議ですよね。その仕組みを簡単に説明します。
スポット剤の仕組み
スポット剤の主成分は、ノミやマダニを駆除する殺虫剤(フィプロニルやイミダクロプリドなど)と、薬を広げるための溶剤です。首に垂らすと、まず皮膚表面の脂質層に広がります。この脂質層は「皮脂」と呼ばれる油分で、スポット剤の成分が溶け込んで全身にゆっくり拡散して行きます。さらに、一部の成分は皮膚の下にある毛細血管に吸収され、血液を通じて体中に運ばれます。これで、ノミやマダニがどこにくっついても効果を発揮します。
効果は投与後1~2日で全身に行き渡り、約1ヶ月持続。ノミが寄生するとすぐに死に、マダニも吸血する前に落ちてしまいます。すごいのは、卵の孵化を抑える成分が入っているものもあることです。繁殖を防いで、家の中でのノミダニ増殖をストップしてくれます。
ただし、シャンプーを頻繁にすると皮脂が洗い流されて効果が落ちることがあるので、投与後2~3日は洗わないように注意してください。もしシャンプーが欠かせない子なら、最近人気の「チュアブル錠」を試すのもいいかもしれません。チュアブル錠はおやつ感覚で食べられて、シャンプーの影響を受けにくいのが魅力です。1度の服用で3ヶ月効果が続くお薬もございます。スポット剤が苦手な子や、皮膚が敏感な子にもおすすめです。獣医師に相談して、ペットに合うタイプを選んでみてください。
ご注意
スポット剤はスポット液を垂らした部分に脱毛がみられることがあります。特に猫でみられる場合が多くみられますが、気になる場合は獣医師に相談して下さい。また、猫の中にはスポット剤をたらした部分を舐めてしまう子がいます。塗布した後はしばらく舐めたり、触ってしまわないように注意してあげて下さい。
SFTSって何?知っておきたい怖い病気
最後に、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」についてお話しします。聞き慣れない名前かもしれませんが、ペットを飼うなら知っておきたい病気です。
SFTSは、マダニが媒介するウイルス性の感染症で、2011年に中国で初めて報告されました。日本でも西日本を中心に発生が確認されています。マダニに咬まれることで感染し、潜伏期間は6日~2週間。発熱、嘔吐、下痢、腹痛といった症状から始まり、重症化すると血小板減少や出血傾向を引き起こします。人間では致死率が10~30%と高く、特効薬がないため予防がとても重要です。
実はこの病気、犬や猫にも感染することが分かっています。特に猫では発熱や黄疸、嘔吐などの症状が出て、約6割が亡くなってしまうケースも。犬でも発症例が報告されていて、ペットから人に感染した事例も確認されています。例えば、体調不良のペットの体液(唾液や尿)に触れた飼い主さんが感染したケースがあります。獣医師や動物病院スタッフの感染も報告されております。
だからこそ、マダニ予防がペットと飼い主さん双方の命を守る鍵になります。動物病院で処方される薬なら、マダニをしっかり駆除できるため、SFTSのリスクを大幅に減らせます。さらに草むらに行くときは長袖を着る、ペットの体をこまめにチェックするといった対策も忘れずに行ってください。
マダニを見つけたら

ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社 ,マダニについてhttps://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/madani
散歩から帰ったら身体をチェックし、マダニを見つけたら動物病院で処置を行って下さい。間違った駆除をすると傷口が化膿したり、病原体がペットの体内に入ってしまうリスクが高まります。
最後に
ノミダニ予防は、ペットの快適な生活と健康を守るだけでなく、私たち人間の安全にもつながります。市販薬は手軽ですが、効果と安全性では動物病院の処方薬をおすすめいたします。スポット剤は皮膚と血液を通じて賢く効いてくれますし、最近はチュアブル錠という便利な選択肢も増えています。そして、SFTSのような怖い病気を防ぐためにも、予防を心掛けて下さい。
あいづま動物病院では、こちらの地域でのノミダニ予防は通常は3月から12月の期間におすすめしております。また、ペットにぴったりの予防プランを提案いたします。「どの薬がいいか分からない」「うちの子に合うか心配」という方は、気軽にご相談ください。ノミダニゼロの幸せなペットライフを一緒に目指しましょう!
参考
ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社,マダニについてhttps://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/madani,2025/04/07参照
厚生労働省, 重症熱性血小板症候群(SFTS) に関するQ&Ahttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html,2025/04/07参照
厚生労働省, 重症熱性血小板症候群(SFTS)についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html,2025/04/07参照