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2025.04.15

うさぎの診察とよくある主訴・症状について

うさぎの診察とよくある主訴・症状について

うさぎは愛らしい見た目と穏やかな性格で、多くの家庭で大切なペットとして愛されています。しかし、体調不良を隠す習性があるため、異変に気づくのが遅れがちです。ここでは、うさぎによく見られる主訴や症状、そして診察のポイントを獣医師の視点からお伝えします。

うさぎによくある主訴と症状

うさぎが動物病院を受診する理由として多いトラブルとその背景を以下にまとめました。

食欲不振

  •  症状 : 牧草やペレットを食べない、水を飲まない
  • 考えられる原因 : 歯の伸びすぎ(不正咬合)、消化管うっ滞(食滞)
  • 対処 : 絶食が続くと敗血症やエンドトキシンショックなど命に関わる状態に陥るリスクがあります。気づいたらすぐに病院へ。

うんちの異常

  •  症状 : うんちが小さい、少ない、軟らかい、出ない、形が異常、繋がっている
  • 考えられる原因 : 消化器系の不調、食物繊維不足、寄生虫、毛球症
  • 対処 : 正常なうんちは丸くコロコロしており、ある程度の大きさと量があります。便の異常は病気のサインであることが多く、早めの受診が重要です。

便 うさぎの体格によってまたは食餌内容によって異なるが、通常の便は丸くてコロコロしており乾いている (参考 1.2キロ ミニレッキス)

歯ぎしりや姿勢の変化

  • 症状  :  歯をギリギリ鳴らす、うずくまる、触られるのを嫌がる、よだれが多い、顔を洗う仕草が増える
  • 考えられる原因  :  臼歯不正咬合による口内炎、食滞による腹部膨満
  • 対処  : うさぎは痛みを隠すのが得意です。痛がっている様子が見られる場合、隠しきれないほどの痛みがあるサイン。早めに診察を。

鼻水やくしゃみ、目の異常

  • 症状  : 鼻が濡れている、くしゃみを繰り返す、目やにが多い、目をしょぼしょぼさせる
  • 考えられる原因  : スナッフル(うさぎの風邪)、アレルギー、感染症、歯の疾患、胸部疾患
  • 対処  : 放っておくと肺炎に進行する恐れがあります。目や鼻の症状が歯や肺の問題に由来することもあるため、悪化する前に受診を。

毛が抜ける・皮膚の異常

  • 症状 : 部分的な脱毛、かゆがる、皮膚が赤い
  •  考えられる原因  : ダニや真菌感染、ストレスによる過剰グルーミング
  • 対処  : 他の疾患に比べ命に関わることは少ないですが、皮膚糸状菌症(人獣共通感染症:zoonosis 人に感染することも)や寄生虫疾患(うさぎ同士で感染することも)の可能性も。早めの受診がおすすめです。

斜頸(首の傾き)

  • 症状  : 頭が片側に傾く、バランスを崩して転がる、目が揺れる(眼振)
  • 考えられる原因  : 内耳炎、エンセファリトゾーン症(微胞子虫:簡易的に寄生虫と説明しているますが、分類上真菌とも寄生虫とも異なる)、脳腫瘍
  • 対処  : 突然発症し緊急性が高い症状です。原因に応じた検査と治療(抗生剤や抗寄生虫薬など)が必要で、早急な受診が必須です。

うさぎの診察のポイント

うさぎは小型でデリケートな動物のため、犬や猫とは異なる配慮が必要です。あいづま動物病院での診察の流れを例に挙げて説明します。

問診

飼い主さんから普段の様子や気になる症状を詳しく伺います。「食欲が落ちた」「うんちの形が変わった」「動きが少ない」といった小さな変化も重要な手がかりになります。

視診・触診

うさぎはストレスに敏感なため、まずキャリー内で呼吸状態や姿勢、元気さを観察します(呼吸が悪い場合は酸素室で様子を見ることも)。その後、低床の診察台で体重測定を行い、毛並みや目・鼻の状態を確認し、触診で腹部や歯の異常をチェックします。優しく素早く行うことがポイントです。

酸素室  呼吸状態が悪そうと判断した場合は診察の前にまず酸素室に入れて観察をする。愛玩動物看護師が問診で状態の悪さに気付いた場合は、獣医師に進言して対応することもあります。

保定1仰向け 腹部や四肢の観察のため仰向けにすることもあるが、動物にとってお腹部は弱点のためストレスがかかる。なるべく長時間この姿勢で拘束しないよう注意が必要です。

保定2 タオルで包む 抱っこが特に苦手であったり脱走癖のあるうさぎはバスタオルなどで包んで保定することも。ただし、押さえ込みすぎると、うさぎは後肢の脚力が強いため、脊椎を骨折し脊髄損傷を起こすこともあるため熟練が必要です。

必要に応じた検査

原因究明のため、レントゲン、血液検査、糞便検査などを実施します。特に歯や消化器系のトラブルが多いため、これらに重点を置いた検査が一般的です。

うさぎの診察には「エキゾチックアニマル」の診療経験が豊富な獣医師が適しています。来院前に病院がうさぎに対応しているか確認すると安心です。

外貌の観察 左右対称性(腫れや腫瘍がないか)頭の傾き(斜頸)、目ヤニ、鼻水の有無などをチェックする

レントゲン撮影風景 うさぎの骨は犬や猫に比べて薄く軽くできているので撮影保定時も事故が起きなう細心の注意が必要です。

時には1キロに満たないうさぎの血管は非常に細く大変なため、耳の血管から採血することもあります。

飼い主さんに知ってほしいこと

うさぎの健康を守るには毎日の観察が欠かせません。牧草をしっかり食べているか、うんちやおしっこの状態、元気さをチェックしてください。特に斜頸のような急な症状は見逃さず、すぐに対応を。「様子を見よう」と待たず、異変を感じたら早めに動物病院へ相談してください。

うさぎは環境変化にも敏感です。温度管理(20~25℃が理想)、ケージの清潔さ、静かな環境を整えることも大切です。定期的な健康診断で病気の予防や早期発見につなげましょう。

最後に

うさぎは言葉で不調を訴えられません。だからこそ、飼い主さんの気づきと獣医師の専門知識が彼らの命を守ります。大切なうさぎが長く元気でいられるよう、気になることがあればお気軽に当院へご相談ください。一緒にうさぎの健康を支えていきましょう。

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