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大切な家族を守るため フィラリア症の必ず知っておいてほしいこと
【目次】
わんちゃんを飼っているオーナーさんは「フィラリア症」という病名を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
毎年予防をしているけど病気のことをよく知らない方や、最近わんちゃんを飼いはじめたばかりでよくわからない方もいると思います。
ちょっとした勘違いで大切なワンちゃんの命をさらさないため、フィラリア症の基礎的な知識や、毎年行う検査の必要性について一緒に学びましょう。
フィラリア症とはどんな病気?
フィラリア症は、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫が犬の心臓や肺動脈に住みつくことで血流を防いだり、血管に障害を与えることによって起こります。
フィラリアは、体内で5〜7年生きると言われ、重症例では何十匹も成虫が寄生することもあります。
蚊がいる時期・場所
蚊は20~30℃の気温を好み、春から秋にかけて活発に活動します。
冬なら安心と思われがちですが、暖房のきいた室内では越冬することもあります。
水たまりなどの湿気の多い場所、地下や通気性の悪いジメジメした場所に多く発生しますが、散歩中に刺されることも多いので注意が必要です。
高層マンションの上層階でもエレベーターや人の服にくっついて侵入することもあります。
感染サイクル
フィラリアは、犬から犬への直接感染はせず蚊を媒介します。フィラリア症に感染している犬を吸血した蚊の体内にフィラリアの幼虫が入り、その蚊が別の犬を吸血したときに、幼虫が犬の体に入ることでフィラリア症に感染します。
犬の体に入った幼虫は、体内を移動し約3ヵ月かけて心臓・肺動脈に寄生、その約3ヵ月後には成虫となり、繁殖して大量の子虫を産みます。この子虫のことを「ミクロフィラリア」と言います。

ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社,フィラリア症について(https://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/filaria)
猫への感染にも注意!
猫の場合は、感染子虫が体内に入り込んでも、成虫にならずに死んでしまうことが多いため、成虫の心臓寄生は少ないとされています。しかし、猫突然死の原因の一つとしてフィラリア症があげられ、猫の心臓にフィラリア成虫が存在した重篤症例や死亡例も報告されています。
フィラリア症の症状
フィラリアは心臓や肺の血管に寄生し、循環器・肺・心臓の機能を低下させます。
主な症状
少数寄生では、軽い運動で疲れやすい(散歩ですぐ疲れるだけではなく、ソファに飛び乗るなどいつもの動きができなくなる)くらいですが、寄生数が多くなると食欲不振、元気がない・発咳、重症化し大静脈症候群と言われる状態になると、赤い尿が出る・お腹が膨れる(腹水の貯留)などが現れ、放置すると死に至ることもある危険な病気です。

ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社(https://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/filaria)
フィラリア予防薬投与前検査について
フィラリア予防薬の投与前になぜ検査が必要なのか
予防薬の投与前には、フィラリアの感染がないことを確認するために、年に1度の検査が必要です。
毎年きちんと投薬していれば感染する可能性はありませんが、投薬時期が不正確だった、投薬を忘れた月がある、飲ませたつもりでもわんちゃんが上手に吐き出していたなどの場合は、予防が成立していない可能性があります。
血管内にフィラリアがたくさんいる状態で予防薬を投与してしまうと、フィラリアの幼虫が大量死滅することによるショック状態に陥ったり(血圧の低下や意識障害)死骸が血管で詰まることで、わんちゃんが亡くなってしまうことがあります。
このため、投与前にはフィラリア症の診断が必要ですが、専用の検査キットを使えば、フィラリアに感染しているかどうかを確認することができます。
フィラリア感染の検査方法
検査方法は大きく2つで、直接顕微鏡検査と抗原検査です。
直接顕微鏡検査では、血液を採取してミクロフィラリアの有無を顕微鏡で確認します。
抗原検査は、採血した血液を専用の検査キットを用いて成虫の有無を調べます。ただし、フィラリアの雌の生殖器から出る分泌物(抗原)を検出するもので、犬の体内に雄しかいない場合などは陰性になります。
いずれの検査においても、感染初期では検査は陰性になってしまいます。そのため、投与開始直前の検査が望ましいとされています。
体調不良(嘔吐や下痢で薬が吸収されなかった)・冬の蚊に刺された(温暖化の影響で冬のフィラリア感染リスクが増加)・薬の投薬ミス(スポット薬が足りなかった、飲んだ後に吐いた)など予防薬をしっかり飲んでいたのに、陽性となってしまう場合もあります。
フィラリア検査で陽性反応(感染している)がでたとき…
予防薬の長期投与、注射による成虫駆虫薬の投与などの内科的治療や外科的治療があり、症状や環境により治療方法が異なりますので、獣医師にご相談ください。
まとめ
今回は、フィラリア症についてと検査の必要性について解説しました。フィラリア感染は予防を正しくきちんと行えば、防ぐことができます。春から秋にかけて、蚊が増える季節。もしまだ予防していないようでしたら、今回の記事を参考に当院へご相談ください。
参考
ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社https://animal-health.boehringer-ingelheim.jp/pet-owner/petcare/filaria,2025/04/07参照