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高齢犬や疾患のある犬のトリミングについて
【目次】
一般的に慣れていない場所でトリミングやシャンプーをすることはペットにとってストレスや負担のかかる行為です。特に、高齢であったり、心疾患や呼吸器疾患、神経疾患、皮膚疾患などの疾患のある犬の場合、その負担は健常犬より大きいと言えます。そのため、施術中の負担を軽減し、体調の変化があった場合はすぐに対応できる体制を整えておく必要があります。そこで今回は高齢犬や、疾患のある犬にトリミングやシャンプーを行う際のリスクや注意点、当院が施術の際に気をつけているポイントについて解説致します。
高齢や疾患のある犬も定期的なトリミングが大切です
高齢や病気になった犬でもトリミングが必要な犬種は定期的なカットやケアが欠かせません。定期的にカットし、お手入れしやすいスタイルに整えることでご自宅での日頃のケアが楽になります。また、トリミング期間が長く空いてしまうことで毛玉の処理などを行う必要が生じ、施術時間が長くなってしまうことがあります。定期的にトリミングを行うことで1回のトリミング時間を短くし負担を軽減することが出来ます。負担を減らそうと良かれと思いトリミングの間隔を空けてしまう飼い主様もいますが、返って1回の施術時間が長くかかってしまい、負担が増えてしまう事も多いのです。
高齢犬や心疾患、呼吸疾患、神経疾患の子のトリミングやシャンプーのリスク
トリミングやシャンプーは心身ともに負担のかかる行為であるため、施術中にストレスが過度にかかると、弁膜症などの心臓発作や気管虚脱など呼吸状態の悪化、てんかんなどの神経症状が起こり命の危険が伴う事もあります。特にリスクが高いのがシャンプーやドライヤーです。緊張や恐怖、興奮により心拍が上がったり、温かいお湯で血圧が上がったり、シャワーの湿度で呼吸が苦しくなることがあります。そのため施術前はトリミングやシャンプーが可能か、どの程度行うことができるか評価し負担の少ない施術方法を考える必要があります。
皮膚疾患の子のトリミングのリスク
皮膚疾患がある場合は、間違った施術を行うことで更に状態を悪化させてしまうことがあります。特にお湯の温度やドライヤーの温度に注意が必要です。人が適温だと感じる温度でも皮膚病にとっては高い場合があります。また、乾かしすぎも悪化を招くことがあります。
当院では丁寧にペットの体調をチェックした上でトリミングを行っています
当院でリスクのある犬のトリミングを行う場合、獣医師がトリミング前に体調チェックを行い、施術方法や使用するシャンプー剤などをトリマーに指示します。
高齢犬や心疾患、呼吸疾患、神経疾患の子のトリミングやシャンプーの対策
施術を受ける動物の負担を少なくするために、仕上がりの完成度より施術時間の短縮・迅速性を優先したり、トリミングの合間に酸素室での休憩を取り入れたり、心疾患のある場合は施術前に利尿剤を投与するといった取り組みを行っています。また、必要な場合は全身状態を定期的にモニターで確認しながら行います。
一度に全身のカットを行うのではなく、負担を減らすために数回に分けたりなど、様子を見ながらその子にあった方法を獣医師やトリマーとご相談の上施術を受けましょう。
酸素室
酸素室は酸素濃度や湿度、室温を設定できる医療機器です。お部屋に入れることで、酸素マスクのような働きをします。心疾患、呼吸器疾患の子の症状を和らげることが出来ます。
体調を把握する為のセンサー
当院では、トリミング施術中に急な体調変化を見逃さないよう、以下の写真のような測定可能なポータブルのセンサーを取り入れています。これらの機器に加え、体温測定や聴診も行います。
動物用の血圧計(左側の機器):腕や足に巻いて血圧を測定します。
血中酸素飽和度センサー(中): 呼吸状態を知るために血中酸素濃度を測定します。耳や足先などで測定します。
心電図センサー(右):心拍数を測定します。心拍数は手術室の心電図のモニターで確認することが出来ます。
動物の場合は施術中にこれらのセンサーを常に装着することは困難であり、正確な測定も容易ではありません。そのためスタッフが常に動物の様子に気を配る必要があります。
皮膚疾患の子のトリミングやシャンプー
皮膚疾患の犬は皮膚治療としての薬浴も行っております。皮膚の状態によってシャンプーの回数を調整し、シャンプーの最後には皮膚の保護剤や薬液を全身に流します。また、耳の疾患がある場合は耳洗浄や処置も行います。
その他の動物や部分的なケア
当院では、毛玉のみのカットや、高齢犬のお尻まわりのシャンプーやカットも行っております。また、猫やうさぎも高齢になるとお尻まわりが汚れて、ケアが必要となる場合もあります。犬以外の動物のシャンプーやカットを行うことが出来るほか、ご自宅でのケアやシャンプー方法をお伝えすることもできますので、お気軽に当院までご相談ください。
まとめ
高齢であったり、疾患があるとトリミングやシャンプーへ連れて行くのが心配になる飼い主様も多くいらっしゃると思いますが、健康や清潔の維持のために、その子にあったケアの方法を獣医師やトリマーと一緒に考えましょう。トリマーは施術中に犬の体に長時間触れることで、小さな変化にも気がつくことがあります。リスクの高い場合は動物病院でトリミングを行ったり、信頼できるトリマーに施術してもらうことで犬の健康やケアに繋げてください。