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2026.02.20

大震災を生き残るために

今後30年以内に高い確率で発生すると予測されている「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」。これらはもはや「もし起こったら」と仮定する話ではなく、私たちが必ず直面する「避けられない未来」です。震災という巨大な力の前に、人間はあまりに無力です。しかし、事前のシミュレーションと正しい知識があれば、生存率、そしてその後の避難生活の質を劇的に変えることができます。

先日、東日本大震災を経験された獣医師が講師を務めるセミナーを受講してきました。私たち動物病院スタッフや飼い主様が出来る震災に備えるべき、よりリアルな情報をお伝えいたします。

動物病院の備え

スタッフが職場である動物病院で被災し、そのまま動物病院で避難生活を送ることも想定しておきます。

ライフライン対策

懐中電灯 (首から下げられるものがよい)

電気がいつ復旧するかわからない中、灯りがあることで安心感が得られるそうです。人数分用意しておきましょう。乾電池も多めに準備しておきましょう。

石油ストーブ (コンセントを使用せず、乾電池で使えるもの)

寒い時期ですと暖を取れるのは勿論、煮炊きにも使用できます。灯油も準備しておきましょう。

余剰な食糧、飲料水

飲料水はウォーターサーバーの交換用の水を多めに在庫しておいてもよいでしょう。(災害時に必要な飲料水の量は1人1日3L程度といわれています)

ペットシーツ、新聞紙

ペットシーツは人間のトイレにも使用できます。

医療の継続

折りたたみ式診察台

被災し、動物病院の中が使用できない状態でも外に診察台を出して診察することができます。

診察用のランタンや携帯ライト

窓が少ない病院の場合、昼間でも暗いことがあります。

発電機 (ガスボンベで使用できるものもあります)

カルテのバックアップをしておく

薬剤の在庫を多めにしておく

安全確保

マスク、ゴーグル

被災地では、建物が崩壊しアスベストが飛散していることがあったり、津波がひいたあとのヘドロが乾燥し粉塵が舞うこともあります。

携帯ラジオ、充電器 (乾電池も多めに)

飼い主様に今日から始めてほしい備え

災害時、ペットとの「同行避難」が推奨されていますが、避難所に行けばすぐに全てが整っているわけではありません。人向けの支援が優先される混乱期にペットとともに「生き残る」ために準備出来ることを紹介します。

「どこでも・誰でも」に慣れるトレーニング

クレートトレーニング

避難所以外でも、被災した自宅で作業する時や、同行避難が難しく動物救護センターに預けることになる場合などクレートに入る場面は出てきます。ダンボールをクレートに使用することもあるので、それにも慣らしておくと良いでしょう。

身体中どこでも触れること

津波に巻き込まれた犬のしっぽ、耳を掴み助けたという事例もあるそうです。また、動物救護センターでボランティアが咬まれるなどの咬傷事故を防ぐことにもつながります。

社会性を身につけておく

どこでも誰とでも仲良く出来るようにしておくと、セラピードッグのような存在となり避難所全体の癒しとなるかもしれません。

排泄のコントロール

ペットシーツで排泄するトレーニング

被災後しばらくは、瓦礫やヘドロのため外での排泄が難しくなる可能性があります。ペットシーツに排泄できるようトレーニングしておきましょう。

ワクチン接種、寄生虫予防、避妊・去勢

避難所や動物救護センターで感染症が蔓延しないよう日頃から予防しておきましょう。避妊・去勢をしておくと、マーキングなどのトラブルの予防が期待できます。(※必ずマーキングを防ぐことができるわけではありません)

「もしも」の時の預け先確保

単身世帯で動物を飼われている方は、発災後その子をみてくれる方をお願いしておきましょう。(市町村職員や医師、看護師の方などで発災後半月から1ヶ月ほど自宅に戻れない方もいたそうです)

マイクロチップの装着

当院コラム犬と猫のマイクロチップ~メリット・デメリットまで~→https://aizuma-vet.com/news/p1688/

動物用非常用持ち出し袋を準備しておく

避難時に両手の空く背負えるものがよい

発災したら行うべきこと

慌てず「来たな」と思う、自分のところの被災状況を確認する (津波、火災を考える)

初期情報を確認する (テレビ、ラジオ、ネット等で)

大切なもの (動物たち、エコーなどの電子機器、水、食糧など) を被災を受けにくい所に移動する

決めていた避難を実行する (小型犬くらいであれば、スリングで抱っこして避難するのもひとつの方法です)

震災後の生活

被害が大きいところほど情報が得られにくい。

治安の悪化 (盗難、女性の一人歩きは危険)

ライフラインの欠損 (東日本大震災のデータでは、ライフラインの復旧までにこれだけの時間を要しました。電気:約2週間、水道:約1カ月、都市ガス:約2カ月)

被災動物の疾病 (外傷、肺炎、中毒、尿毒症、糖尿病、猫ウイルス性鼻気管炎、猫下部尿路疾患、衰弱などが多かったそうです)

まとめ

今回は、実体験に基づいたセミナーを受講し、今まであまり聞いたことがなかったお話をたくさん聞くことができました。発災後、自分がどのように行動するのかシミュレーションしておき、パニックに陥らないことが大切です。被災状況に合わせてフローチャートを作成しておくのも良いと思います。

暗い雰囲気になりがちな避難所で、ペットと同伴避難している区画は笑顔が多かったと聞きました。ペットは人の心を和ませ、安らぎを与える存在だと改めて感じました。

今回のセミナーは愛知県獣医師会の災害対策委員会主催のものです。あいづま動物病院の獣医師も所属している愛知県獣医師会では、平常時から獣医師会として共通認識を持って災害獣医療を行うために、意見交換、講習会、避難訓練を行っています。当院のスタッフも、このようなセミナーに参加し知識をアップデートしながら災害に備えています。

あいづま動物病院の過去のコラムに、災害時の備えに関する記事がありますので参考にしてみて下さい。

犬と猫の災害時の備え〜いざという時に必要な準備〜https://aizuma-vet.com/news/p1042/

 



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