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介助犬について知っていますか?その役割と私たちにできること
【目次】
犬は長きにわたり人と密接な関係を築いてきました。犬はどの動物種よりも早くに人に飼い慣らされ、家畜化された動物です。人との生活の中で、犬の優れた嗅覚や聴覚などの能力は、狩猟などに利用されるようになりました。近年では、警察犬、探索犬、探知犬、検疫犬、救助犬などの使役犬(ワーキングドッグ)や、人の生活のために働く盲導犬、介助犬、セラピー犬などのソーシャルドッグとして活躍しています。
今回は、その中の介助犬について解説していきます。

介助犬ってどんな仕事をしているの?
介助犬は、主に手足に障がいのある肢体不自由者の方の日常生活動作をサポートするために、特別な訓練を受けた犬です。盲導犬が視覚障がい者の「目」となり、聴導犬が聴覚障がい者の「耳」となるように、介助犬は、使用者の方の「手足の一部」となって、自立と社会参加を支える、かけがえのないパートナーです。
介助犬の具体的なサポート内容
介助犬の仕事は、多岐にわたります。その訓練は、使用者一人ひとりの障がいの状況や程度に合わせてオーダーメイドで行われるため、個々によって異なりますが、代表的なものとして以下のような動作があります。
a.落とした物を拾う:鍵や携帯電話など、床に落としてしまった小さな物を拾って手渡します。
b.ドアの開閉:ドアノブに前足をかけて回したり、ドアを引いて開けたりといった動作を補助します。
c.着脱の補助:靴下や衣服を引っ張って脱がせるのを手伝います。
d.スイッチ操作:照明や自動ドアなどのスイッチを鼻先や前足で押します。
e.緊急連絡手段の確保:緊急時に、使用者からの指示で緊急ボタンを押す、電話の受話器を持ってくる、といった動作をします。
f.車椅子の牽引:必要に応じて、車椅子を短距離で牽引する補助を行います。
これらのサポートは、単に利便性を高めるだけでなく、「介助犬がいれば一人でできる」という自信につながり、使用者の方の社会参加への大きな後押しとなるのです。
介助犬になるための道のり
介助犬は、誰もがなれるわけではありません。その任務を果たすためには、優れた適性と専門的な訓練が必要です。
1.パピー期間(社会化)
生後約2か月から1歳頃まで、ボランティア家庭(パピーホーム)で、人間社会のさまざまな経験を積みながら、愛情をたっぷり受けて育ちます。人間への友好的な態度や、社会のマナーを学ぶ大切な時期です。
2.専門訓練
1歳頃から訓練施設に入り、トレーナーと共に約1年〜1年半かけて、上記のような特定の介助動作の訓練を受けます。介助犬に向いている犬種として、日本ではラブラドール・レトリバーが多く活躍していますが、人や動物に友好的で、作業意欲のある犬であれば犬種は問わないとされています。
3.使用者との共同訓練
訓練を終えた犬は、利用希望者とマッチングされた後、共同で訓練を行います。これは、介助犬と使用者が深い信頼関係を築き、スムーズに指示を出し合える「パートナーシップ」を確立するために不可欠なプロセスです。
この厳しい訓練を経て、認定法人による評価・認定を受けてはじめて、介助犬として社会で働くことができます。
介助犬の日常
2025年10月現在、全国で56頭の介助犬が活躍しています。
使用者が起きてから寝るまで(もしかしたら寝ている間も)、使用者によっては介助犬にやってもらいたい作業が異なるため、介助作業をする場面はまちまちです。使用者が通勤して仕事をしている場合でも、日中自宅で過ごしている人の場合も、基本的に介助犬は用事の無いときは自由な姿勢で待機しています。介助犬と外出する際には、周りの人に分かるように「介助犬」と書かれた表示を付け、体を覆うベストなどを着用させます。
介助犬は10歳ごろで引退し、家庭犬として余生を過ごします。使用者の方が家族と一緒に引退後の介助犬を飼育する場合と、一般の家庭に引き取ってもらう場合があります。
介助犬と「身体障害者補助犬法」
介助犬は、法的にその存在と活動が保障されています。
介助犬を含む身体障害者補助犬は、「身体障害者補助犬法」に基づき、公共交通機関(電車、バス、タクシーなど)や、不特定多数の人が利用する施設(病院、デパート、飲食店、ホテルなど)への同伴が義務付けられています。これは、補助犬ユーザーのアクセス権を保障し、自立と社会参加を促進するための大切な法律です。
私たちにできること:介助犬への理解と接し方
介助犬ユーザーが社会で活動する上で、周囲の理解は欠かせません。もし街中で介助犬を見かけたら、以下の点にご協力をお願いします。
・集中を妨げない
介助犬は「お仕事中」です。声をかけたり、じっと見つめたり、勝手に触ったりするのはやめましょう。使用者の方への声かけ(「何かお困りですか?」など)を優先してください。
・食べ物を与えない
介助犬は、決められた食餌以外のものに気を取られないよう訓練されています。健康管理と集中力維持のため、食べ物を与えないでください。
・ペットを近づけない
介助犬が仕事に集中できるよう、ペットを連れている場合は距離を保ちましょう。
介助犬についてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
介助犬は障がいを持つ方の「生活の質の向上」に大きく貢献し、自立と社会参加の架け橋となっています。動物病院は、介助犬の健康を守る重要な役割も担っています。
あいづま動物病院では、介助犬とそのパートナーが安心して暮らせる社会を目指し、その活動を支えたいと考えています。介助犬を見かけたら、温かい目で見守り、必要な場面では優しくサポートをお願いいたします。

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