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モルモットによく見られる健康問題
モルモットは可愛らしくペットとして人気ですが、野生の環境とは異なる飼育条件下で過ごすため、特定の健康問題が発生しやすい動物です。体調の変化を表に出さない動物ですので、早い段階で体調不良に気づいてあげるためには、飼い主様の日頃の観察がとても重要になります。
このコラムでは、モルモットが特にかかりやすい病気とその対策についてご紹介します。

不正咬合(ふせいこうごう)
モルモットの歯はウサギと同じで一生伸び続けるため、正しく噛み合わないと深刻な問題となります。不正咬合とは、歯が過剰に伸びてしまい噛み合わせが悪くなった状態を言います。
ソフトタイプのペレットや葉物の野菜など柔らかくて食べやすい食餌を与えすぎて、牧草の給餌が不足すると、歯の磨耗が不十分になり、歯科疾患につながります。また、ケージの金属部分などをかじってしまい異常な噛み合わせとなってしまうことがあります。

モルモットの歯は切歯(前歯)が4本、臼歯(奥歯)が16本あります。上顎の臼歯は外側に向かって生えており、下顎の臼歯は内側に傾斜したように生えています。うさぎと同じように全ての歯が生涯にわたって伸び続けます。食事を咀嚼することで歯がすり減り、バランスを保っています。
【主な症状】
食欲不振、よだれの増加、体重減少
過剰に伸びた歯が舌や頬を傷つけ、痛みから食欲が低下したり、よだれが出ることがあります。
【対策】
野菜のあげすぎにならないように常に気をつけ、牧草をたっぷりと与えることを心がけましょう。
モルモットに木の枝や咀嚼用のおもちゃを提供して、自然に歯を削る機会を増やしてあげるのもよいです。
適度な硬さの食材を与え、定期的に動物病院で歯の状態を確認してもらうことも重要です。
一度不正咬合となると、奥歯を削ったり、前歯をカットしたりなど定期的な歯科処置が必要となることがあります。
消化管うっ滞・鼓張症
うっ滞とは、ストレスや食物繊維不足、毛球などが原因によって腸の動きが悪くなってしまうことをいいます。それによって消化管にガスが溜まり、お腹がパンパンになってしまう状態のことを鼓張症といいます。
不正咬合など歯の病気やストレス、運動不足、毛球症などが良くある原因です。
【症状】
食欲不振、排便の減少あるいは停止、歯ぎしり、腹部が張る
【対策】
高品質な牧草を常に与え、適度な量のペレットを与えることで消化器系の健康を維持します。
突然の食餌変更を避け、ストレスを最小限に抑える環境を整えることが重要です。また季節の変わり目などの温度変毛によるストレスにも注意してください。
毛繕いの際に多くの毛を飲み込むことで、毛球症となりますので、長毛の場合は、こまめなブラッシングを心がけましょう。
ビタミンC欠乏症(壊血症)
モルモットは人間と同じく体内でビタミンCを合成することができません。そのため、毎日の食餌から十分なビタミンCを摂取する必要があります。
【主な症状】
食欲不振、体重減少、関節の痛みや腫れ、歩行困難、歯肉や皮膚からの出血、毛並みの悪化、最悪の場合死に至ることもあります。
【対策】
モルモットの食餌には、牧草とビタミンCを強化したモルモット用ペレットを主食にし、少量の野菜や果物を与えましょう。野菜や果物を与えすぎると軟便や下痢を引き起こす場合があるので注意しましょう。
皮膚疾患
モルモットは他の小動物よりも皮膚疾患に罹患しやすい傾向があります。排泄量が多いためケージ内を汚しやすいこと、高温多湿な日本の環境が感染を招きやすいことなどが主な原因です。
罹患しやすい皮膚病には、シラミやダニなどの寄生虫の感染、細菌・真菌(カビ)などの感染があります。
【主な症状】
皮膚の炎症や脱毛、皮膚の痒み、フケ
【対策】
こまめに清掃する、通気性をよくするなど、ケージ内を清潔に保つことが予防になります。とくに寄生虫が原因だと、治療を終えてもケージ内に寄生虫や卵がのこっていればすぐ再発する可能性があるため、治療後のケアも注意が必要です。
尿石症
尿石症とは、尿道や尿管、腎臓などに結石ができる病気です。結石の大きさやできた場所によっては、尿道などを傷つける、詰まる、血尿や排尿痛があるなどのトラブルを起こします。
モルモットの場合、アルファルファなどカルシウムを多く含む牧草や野菜の摂りすぎや水分不足、遺伝が原因で尿石症に罹患します。
結石が小さい場合は自然に排出されることもあります。排出されない場合は、カルシウムを主成分とする結石は溶けることがないため、結石を取り除く手術が必要になることもあります。
【主な症状】
排尿痛、血尿、排尿不全
【対策】
チモシーなどのイネ科植物の牧草やペレットを与え、また水分不足にならないよう水を与えましょう。
モルモットの体調不良のサイン
・食欲がない、元気がない
・被毛にツヤがない
・便がやわらかい、お尻が汚れている
・くしゃみ、鼻水
・頻尿、血尿、尿が出ない
・ふらつきや首の傾きがある
・かゆみがあり頻繁に体をかいている
・体に腫れやしこり、赤み、フケ、キズ、脱毛がある
健康な時の状態を把握しておき、いつもと様子が違うと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。

定期的に体重を測定しましょう。
まとめ
モルモットの健康を守るためには、適切な食餌管理、清潔な住環境の維持が不可欠です。そして、ご家庭では分からないこともあると思いますので、定期的なかかりつけ医の診察も大切でしょう。
モルモットに特有の病気を理解し、早期に対応することでモルモットの健康と長寿をサポートできます。
当院において、モルモットの来院理由は、不正咬合によるものが最も多く、次に消化管うっ滞です。当院で飼育するモルモットも定期的に体重を計測し健康チェックをし異変を見逃さないようにしております。
日頃からモルモットの様子をしっかりと観察して異変を感じたら、ためらわずにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
このコラムが、あなたとモルモットの暮らしを豊かで安心できるものにする一助になれば幸いです。