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フェレットのよくある病気と治療について
【目次】

フェレットは愛らしい見た目と活発な性格で、多くの飼い主様に愛されています。日本で販売されている個体のほとんどが幼少期に避妊去勢手術されており、鳴き声も小さいため比較的飼育しやすいエキゾチック動物です。
しかし、フェレットは特定の病気にかかりやすく、また誤食によるトラブルが起こりやすい動物です。このコラムでは、フェレットのよくある病気とその治療法、そして特に注意して欲しい誤食についてお伝えします。
フェレットのよくある病気
副腎疾患
フェレットで最も多い病気のひとつが副腎疾患です。これは、副腎がホルモンを過剰に分泌することで発症します。主な症状には、脱毛(特に尾やお尻周辺)、皮膚のかゆみ、攻撃的な行動、雌の場合は外陰部の腫れなどがあります。3歳以上のフェレットでよく見られます。
診断・治療法
診断には血液検査や超音波検査を用います。治療にはホルモン分泌を抑える薬(例:リュープリン注射)や、副腎の外科的摘出が一般的です。早期発見が重要なので、脱毛や異常行動が見られたらすぐに動物病院を受診してください。
インスリノーマ(膵臓腫瘍)
インスリノーマは、膵臓にできる腫瘍がインスリンを過剰に分泌し、低血糖を引き起こす病気です。症状には、元気消失、ふらつき、よだれ、発作、食欲不振などがあります。特に空腹時やストレス時に症状が顕著になることが多いです。
診断・治療法
血液検査で低血糖を確認し、超音波検査やCT検査で腫瘍を特定します。治療は外科手術で腫瘍を摘出する場合と、薬で血糖値を管理する場合があります。食事管理も重要で、少量頻回の食事を与えることで低血糖を防ぎます。
リンパ腫
リンパ腫はフェレットの悪性腫瘍の一つで、リンパ節や脾臓、肝臓などに発生します。症状には体重減少、食欲不振、リンパ節の腫れ、呼吸困難などがあります。若いフェレットから高齢まで幅広く発症する可能性があります。
診断・治療法
診断には血液検査、生検や画像診断が必要です。治療は化学療法(抗がん剤)やステロイド剤の投与が主ですが、進行度によっては緩和ケアが選択されることもあります。早期発見が予後を左右するため、定期的な健康診断が推奨されます。
心疾患
フェレットも心筋症や心不全を発症することがあります。症状には、呼吸が速くなる、運動を嫌がる、食欲低下、むくみなどがあります。特に高齢のフェレットで多く見られます。
診断・治療法
心臓の状態を評価するためにレントゲンや心エコー検査を行います。治療には利尿剤や心臓の負担を軽減する薬が使われます。また、安静を保ち、ストレスを減らす環境調整も重要です。
誤食によるトラブル
フェレットの好奇心旺盛な性格は、誤食のリスクを高めます。特にゴム製品(おもちゃ、ゴムバンド、スポンジなど)、布、プラスチック、紐などはフェレットが噛んで飲み込んでしまうことが多く、腸閉塞や胃腸炎を引き起こす危険があります。誤食は命に関わる緊急事態になることもあるため、飼い主さんの注意が欠かせません。
誤食の症状
・嘔吐や下痢
・食欲不振
・元気消失
・便が出ない、または異常な便(血便など)
・腹部の膨張や痛み
治療法
誤食が疑われる場合は、すぐに動物病院を受診してください。診断にはレントゲン検査やバリウム検査、超音波検査を用いて、異物の位置や状態を確認します。治療は以下の通りです。
・内科的治療
軽度の場合は、薬で腸の動きを促したり、異物を便として排出させることがあります。
・ 外科的治療
異物が腸や胃に詰まっている場合(腸閉塞)、緊急手術が必要です。麻酔をかけ開腹手術により、胃や腸を切開し、異物を取り出します。胃の中にある場合、胃カメラ(内視鏡)で開腹手術をせずに除去できる場合もあります。腸閉塞を起こしている場合、時間の経過とともに消化管の壊死、穿孔、腹膜炎のリスクが高くなり、最悪のケースとして死に至る可能性があるため、迅速な対応が求められます。手術後も一定期間の安静と入院が必要になります。
予防
フェレットの遊び場からゴム製品や小さな物を撤去し、安全なおもちゃを選びましょう。また、ケージの外で遊んでいる時間はしっかりと見守り、誤食のリスクを最小限にしてください。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭ではお子様のおもちゃ、消しゴムやゲームのコントローラーのゴム部分を齧って誤食してしまうといった事例もありますので充分に注意してください。
フェレットの健康を守るために
フェレットの病気を予防し、健康を維持するためには以下のポイントが重要です。
1.定期的な健康診断
年に1回の健康診断で、早期発見・早期治療につなげましょう。特に3歳以上のフェレットはリスクが高まるため、頻度を増やすことをおすすめします。
2.適切な食事
フェレット専用の高タンパク・低炭水化物のフードを与え、インスリノーマのリスクを軽減しましょう。おやつは控えめに。
3.安全な環境
誤食を防ぐため、ケージや遊び場を点検し、危険な物を排除してください。
4.ストレス管理
過度なストレスは副腎疾患などを引き起こすため、静かで快適な環境を整えましょう。
まとめ
フェレットは副腎疾患、インスリノーマ、リンパ腫、心疾患などの病気にかかりやすく、また誤食によるトラブルも頻発します。これらの病気の多くは早期発見・早期治療が大切です。ご自宅のフェレットの行動や体調の変化を見逃さず、異常を感じたら動物病院を受診してください。また、お迎えしてすぐのフェレットは耳ダニ寄生が見られることがありますので、新しくフェレットをお迎えしたら、まずは一度動物病院を受診することを推奨します。
特に誤食は命に関わるため、普段から安全な環境を整えることが大切です。愛らしいフェレットとの生活を長く楽しむために、定期的な健康管理と愛情をたっぷり注いであげてください。