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ウサギを家族に迎える前に知ってほしいこと
【目次】
近年、愛らしい見た目と個性豊かな性格から、ウサギを家族に迎える方が増えています。しかし、ウサギはとてもデリケートな動物であり、適切な知識と準備なしに飼育をはじめると思わぬトラブルに繋がることも少なくありません。
このコラムでは、ウサギを家族に迎えようと考えている方へ向けて、飼い主になるために知っておくべき、飼育に必要なもの、基本的な飼い方について詳しく解説します。
ウサギをお迎えする前に…
ウサギは一般的に5年から10年、中には10年以上生きる長寿な動物です。ウサギが生涯にわたって健康で幸せに過ごせるよう、適切な飼育環境や愛情、健康維持し続ける覚悟と責任が必要です。お迎えする前に、以下の点を家族全員でしっかり確認しましょう。
家族の理解と協力
ウサギの世話は家族全員で行うのが理想的です。アレルギーを持つ人がいないか、毎日の世話を分担できるかなどを確認しましょう。
一般的にウサギをペットで飼育する場合は、チモシーなどイネ科の牧草を乾燥させたものを主食とします。ウサギに対するアレルギーだけでなくイネ科の植物に対するアレルギーも考慮しなくてはなりません。
経済的な余裕
牧草やペレットなどの毎日の食餌の費用、トイレシーツなどの消耗品の費用に加え、予期せぬ病気やケガに備えた医療費も考慮に入れる必要があります。ウサギは体調を崩しやすい動物であり、昨今の犬猫に対する診療と同様、専門的な治療を望んだ場合、高額な費用がかかることもあります。
飼育スペースの確保
ケージの設置場所だけでなく、ウサギが安全に運動できるスペースも確保できるか確認しましょう。ウサギの健康維持には、適切な運動が欠かせません。
運動時に室内で運動させる場合には電気コードや家具、壁などをかじってしまいますので、十分な対策をした環境作りが必要です。
ウサギの飼育に必要なもの
ウサギが安心して過ごせる、快適な生活環境に必要である最低限揃えておきたいものをご紹介します。
ケージ(飼育スペース)
ウサギが中で立ち上がったり、移動できる広さが必要です。今後の成長も考慮し、少し大きめのものを選ぶと良いでしょう。
引き出し式のトレーが付いているなど、掃除がしやすい構造だと、日々のケアが楽であり清潔に保てます。床は基本的に排泄物が下に落ちるよう金網やスノコが便利です。しかし、足の裏をケガしてしまうウサギもいるため、そういった場合は動物病院に相談しましょう。
給水器、給水ボトル
ウサギが自然な体勢で水を飲みやすい給水器がおすすめです。ひっくり返すことがあるので、重さのある器が推奨されます。(陶器やステンレス製など)
ケージの外側からセットできる給水ボトルタイプもあります。
ウサギの性格や生活環境に合わせて、最適なものを選んであげましょう。
トイレ
ウサギの体格に合ったサイズを選びましょう。ケージの隅に設置するのが一般的です。
トイレ砂
排泄物の吸収性に優れ、消臭効果のあるものを選びましょう。誤って口にしても安全な、固まらないタイプのトイレ砂が主流です。トイレ用のペットシーツでも代用できますが、かじられて誤食されないように工夫が必要です。
牧草(主食)
ウサギの健康に最も重要なのが牧草です。
消化器系の健康維持や、歯の伸びすぎを防ぐためにも不可欠です。常に新鮮な牧草が食べられるように、十分な量を用意し、一日中いつでも食べられるようにしましょう。
体格にもよりますが、牧草を1日に100g以上食べます。食べられるだけ与える必要がありますので、1ヶ月に1羽あたり5キロのチモシーを消費することになると考えておくと良いでしょう。
牧草入れ
ケージに固定できるラックタイプや、ケージ内に置くタイプなどがあります。ウサギが食べやすい高さに設置できるものが良いでしょう。
牧草が汚れないように、清潔に保てるものを選びましょう。
顔を牧草に突っ込んで食べるような子は、目を傷つけることもあるため注意が必要です。
ペレット(主食)
牧草が主食ですが、栄養補助としてペレットも与えます。
年齢・成長段階に合わせたものを選びましょう。
与えすぎは肥満の原因になるため、パッケージに記載されている適量を守ることが大切です。
給餌器
ペレットを入れる容器です。陶器製など重さのあるものが倒れにくく、衛生的でおすすめです。
その他、あると便利なもの
かじり木・おもちゃ
歯の健康維持とストレス解消に役立ちます。ウサギが安全にかじれる素材のものを選びましょう。
爪切り
定期的な爪切りが必要です。
専用の爪切りを用意するか、動物病院やペットショップで切ってもらいましょう。
グルーミング用品
ブラシなどを用意し、定期的にブラッシングすることで毛玉の飲み込みを防ぎます。
キャリーケース
病院へ行く際などに必要になります。通気性が良く、ウサギがキャリー中で落ち着けるサイズのものが良いでしょう。
毎日のお世話
食餌
常に新鮮な牧草をたっぷりあげましょう(食べ放題)
ペレットは1日2回(朝と夜)に分けて、年齢や体重、活動量に合わせた適量をあげてください。
お水の交換
残っていても毎日交換して、新鮮なお水をあげてください。
お掃除
ケージとトイレは毎日掃除することが望ましいです。
掃除のついでに便の大きさや量、オシッコの状態を確認することは健康チェックも兼ねています。
運動
健康維持とストレス解消のため、毎日1時間ほどケージから出して、安全な場所で自由に遊ばせてあげましょう。
この時間は、ウサギとの大切なコミュニケーションの時間にもなります。
室温調整
ウサギは暑さと湿気が苦手で、快適に過ごせる温度が18℃〜23℃で、湿度が40〜60%ほどです。
直射日光やエアコンの風が直接当たらないよう、ケージの置き場所には注意しましょう。
夏場の熱中症、冬場の低体温症には特に注意が必要です。
健康チェック
毎日のふれあいの中でよく観察して、異変がないか確認し、おかしいと思うことがあれば早めに動物病院を受診しましょう。
- 食餌や水の摂取量に変化がないか。
- 糞の大きさや形、量、尿の色や量に異常がないか。特に下痢や、小さな糞が続く場合は、病気のサインの可能性があるため注意が必要です。
- 目やに、鼻水、口の周りの汚れがないか。
- 脱毛、フケ、赤み、腫れがないか。
- 元気がない、隠れてばかりいる、体を痒がる、特定の場所をなめ続けるなどの異常行動がないか。
不妊手術(避妊・去勢手術)
ウサギはオスメスで飼っている場合、一瞬の隙で交配してしまいます。また、長寿のウサギも増えてきており、子宮内膜症などの婦人科の病気を発症する子も少なくありません。誤交配を防ぐ、病気の予防のために不妊手術は有効な手段の一つです。手術時期に関しては、動物病院と相談すると良いでしょう。
ウサギとの上手な接し方
ウサギは非常に繊細な動物ですが、優しく、根気強く接することで、飼い主さんとの間に強い信頼関係を築くことができます。ウサギの個性や気持ちを尊重し、穏やかにコミュニケーションをとりましょう。
- 大きな音や急な動きを苦手とします。優しく穏やかに接し、驚かせないようにしましょう。
- 毎日名前を呼んで話しかけ、撫でてあげることで、ウサギは飼い主さんを認識し、安心するようになります。
- 上から何かをされることを嫌がる傾向にあります。しゃがんで目線を合わせ、同じ高さから接するようにすると、警戒心を解きやすくなります。
- 抱っこされるのを嫌がる子が多いです。慣れないうちに無理に抱っこしようとすると、暴れてウサギ自身や飼い主さんが怪我をしたり、飼い主さんへの不信感を抱く原因になります。抱っこに慣れさせる場合は、ウサギが安心できる低い位置で短時間から始め、ウサギが嫌がるようならすぐにやめて、決して無理はしないようにしましょう。
うさぎの診察とよくある主訴・症状についてのコラムはこちら→https://aizuma-vet.com/news/p636/
まとめ
当院では、ウサギの健康を第一に考え、飼い主の皆様が安心してウサギと暮らせるよう、診療はもちろんのこと、日頃のケアや飼育に関する具体的なアドバイスも積極的に行っております。大切なウサギさんが豊かな暮らしを送れるよう、全力でサポートさせていただきます。
何かご心配なことや、ご不明な点がございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽に当院へご相談ください。