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動物病院の診療科について
動物病院の診療は、人間の病院とは異なる特徴を持っています。人間の医療では、内科、外科、産婦人科、眼科など診療科が細かく分かれ、専門医がそれぞれの分野で高度な治療を提供します。一方、動物病院では基本的に「全科診療」が一般的です。当院でも、犬や猫の一般診療から外科手術、エキゾチックペットの診療まで幅広く対応しており、動物たちの健康をトータルでサポートしています。このコラムでは、動物病院の診療科の特徴や、動物医療の多様性、最近の専門化の傾向についてご紹介します。
全科診療:動物病院の特徴
人間の医療はホモ・サピエンスという単一の種を対象としていますが、動物病院では犬、猫、ウサギ、ハムスター、鳥類、爬虫類など、多種多様な動物を診察する必要があります。それぞれの動物は解剖学、生理学、行動、食性、至適飼育環境が異なり、病気や治療法も大きく異なります。例えば、犬の心臓病と鳥の呼吸器疾患では診断や治療のアプローチが全く異なります。そのため、動物病院の獣医師には幅広い知識と技術が求められます。
当院では、犬や猫の一般的な内科診療(健康診断、ワクチン接種などの予防医療、膵炎などの消化器疾患の治療、糖尿病などの内分泌疾患、抗がん剤治療など)から、外科手術(避妊・去勢手術、腫瘍摘出、角膜縫合、骨折治療など)まで、さまざまなニーズに対応しています。さらに、エキゾチックアニマルと呼ばれる小動物(ウサギ、フェレット、モルモット、爬虫類など)の診療や手術も頻繁に行っています。これらの動物は犬や猫とは異なる専門知識が必要で、例えばウサギの歯の治療や鳥の羽の異常など、独特な症例に対応する技術が求められます。
犬猫専門病院と全科診療の違い
動物病院の中には「犬猫病院」と名乗るところもあります。これらの病院は、犬と猫に特化し、他の動物種の診療は行わない場合が一般的です。これは、犬と猫がペットとして最も一般的で、症例数も多いため、専門性を高めて効率的に診療を行うためです。一方で、全科診療を行う動物病院では、犬猫だけでなく、エキゾチックアニマルやその他の小動物にも対応します。これにより、地域のさまざまなペットオーナーのニーズに応えています。
専門化の進む動物医療
近年、動物医療の分野でも専門化が進んでいます。例えば、眼科専門、皮膚科専門、腫瘍科専門、整形外科専門など、特定の診療科に特化した動物病院が増えてきています。これらの専門病院では、高度な診断機器や専門知識を持つ獣医師が在籍し、特定の疾患に対してより精密な治療を提供します。例えば、眼科専門病院では白内障手術や緑内障治療、整形外科専門病院では人工関節手術などが行われます。
このような専門病院の登場は、動物医療の質の向上に大きく貢献しています。各学会(例えば比較眼科学会や獣医がん学会など)が認定した専門医が在籍している病院もあれば独自の研鑽により自身で専門性を謳っている病院もあります。一般的な動物病院では飼い主様の希望により、必要に応じて専門病院と連携し、患者である動物に最適な治療を提供します。
広告規制と地域差
ただし、専門化に伴う課題もあります。自治体によっては、動物病院が「〇〇科専門」と広告することを制限している場合があります。これは、専門性を謳うことで一般診療を期待する飼い主が混乱するのを防ぐためや、獣医師の資格範囲を超えた誤解を避けるための規制です。例えば、愛知県では動物病院の広告に関するガイドラインが定められており、特定の診療科を強調する場合は、適切な資格や実績を明示する必要があります。違反すると広告が制限される場合もあるため、動物病院側は慎重に対応する必要があります。
こうした規制を遵守しつつ、飼い主の皆様にわかりやすく正確な情報を提供することを心がける必要があります。全科診療を行う強みを活かし、犬猫からエキゾチックアニマルまで幅広く対応しつつ、必要に応じて専門病院への紹介を円滑に行うことも重要です。
動物病院の使命
動物病院の役割は、単に病気やケガを治療するだけではありません。動物と飼い主の絆を支え、共に幸せな時間を過ごせるようサポートすることです。犬のワクチン接種から猫の腎臓病治療、ウサギの歯科治療、鳥の羽の手入れまで、幅広い診療を通じて、動物たちの健康を守ります。また、飼い主の皆様には、動物の健康管理や病気の予防について正しい知識を持っていただくことも重要です。当院では、診療の際にはわかりやすい説明を心がけ、飼い主と動物が安心できる環境を提供しています。
まとめ
動物病院の診療科は、人間の病院とは異なり全科診療が基本です。近年ではエキゾチックアニマルを家族として迎え入れ、人間の家族と同じレベルの医療を希望するご家庭が増えてきました。数年前まで日本ではペットとして名前を聞いたことがなかった、例えば最近ではミーアキャット やパームシベットのような動物が来院するこもあります。犬、猫だけでなく、こうしたエキゾチックアニマルまで幅広く対応する当院のような病院は、地域の多様なニーズに応える存在です。一方で、専門化の進展により、眼科や内分泌科、腫瘍科など特定の分野に特化した動物病院も増えており、動物医療の質の向上が期待されます。ただし、広告規制などの地域差にも留意が必要です。当院ではこうした背景を踏まえ、すべての動物と飼い主に寄り添い、最適な診療を提供することを目指しています。