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2025.07.05

犬と猫の災害時の備え〜いざという時に必要な準備〜

地震や台風などの災害は予測が難しく、南海トラフ地震も30年以内に約80%の確率で発生するとされています。ペットと安全に避難するためには、事前の準備が不可欠です。このコラムでは、犬や猫のための防災グッズの準備を中心に、わかりやすくポイントを整理して解説します。いざという時に慌てず、愛するペットの命を守るための備えを今から始めましょう。

基本の防災グッズ:最低限の準備

災害時にペットが必要とする基本アイテムを、すぐに持ち出せるように準備しましょう。以下のアイテムを5~7日分を目安に揃えておくことが重要です。

フード・飲水

  普段食べているフードを5~7日分用意。缶詰やパウチは嗜好性が高く、食欲が落ちた時にも役立ちます。手作り食を与えている場合でも、災害時にはドライフードに頼る可能性があるため、普段から少しずつ慣らしておくと安心です。飲み水も忘れずに準備しましょう。

食器

  折りたたみ式の食器や普段使い慣れたものを用意しましょう。ラップをかぶせて使用すると、食器を汚さず使えるため衛生的で洗う手間も省けます。

トイレ用品

  トイレ用猫砂、ペットシーツ、排泄処理用の消臭袋を準備。吸水タイプの猫砂やペットシーツは断水時に人のトイレにも活用できるため、多めに用意すると便利です(ビニール袋をトイレに被せ、猫砂を入れて使用可能)。消臭効果のあるアイテムは避難所でのマナーにも配慮できます。

2016年の熊本地震では「猫砂を持参したが避難所で十分なスペースがなく、衛生管理が難しかった」といった声もあったようです。消臭袋や予備のトイレ用品の準備が推奨されます。

首輪・リード・ハーネス

  首輪には狂犬病予防注射済票と、飼い主の連絡先を書いた迷子札も装着しましょう。リードやハーネスも必ず準備し、予備も検討しましょう。万が一、避難所でペットと過ごすことになった場合、他者とのトラブル防止のために必要です。

キャリーバッグ・クレート

  猫にはキャリーバッグが必須で、犬もクレートに慣れておくと安心です。普段から慣れさせておくことで、避難時のストレスを軽減できます。猫が入りたがらない場合は、洗濯ネットなどを活用して一時的に保護するのも有効です。

健康管理のためのグッズ

災害時には獣医師やペットショップへのアクセスが制限される可能性があります。ペットの健康を守るための準備も怠らないようにしましょう。

常備薬・健康管理用品

  基礎疾患のあるペットは、1~2週間分の処方薬を用意しましょう。獣医師に相談し、予備の薬を入手しておくと安心です。ノミ・ダニ予防薬、目薬、耳洗浄液なども必要に応じて準備しましょう。

健康記録・ワクチン証明書

  狂犬病ワクチンや混合ワクチンの接種証明書、ペットの健康状態を記録した書類を防水ケースに保管して携帯できるようにしましょう。避難所で健康証明が求められる場合があるため、最新の情報を準備しておきましょう。

応急処置キット

  ガーゼ、包帯、消毒液、ピンセット、ペット用体温計などを含む簡易キットを用意しましょう。災害時は小さなケガが感染症のリスクにつながるため、早めの対処が重要です。

快適さを保つためのアイテム

避難生活はペットにとってストレスが大きい環境です。少しでも快適に過ごせるよう、以下のアイテムを準備しましょう。

毛布・タオル  

ペットが安心できる匂いのついた毛布やタオルを用意しましょう。寒さ対策やキャリーバッグのクッション代わりにも使えます。

お気に入りのおもちゃ

  ストレス軽減のために、「普段遊んでいるおもちゃ」や「噛むおもちゃ」を準備しましょう。避難所では音の出ないものがマナーとして適切です。

防寒・防水グッズ

  季節や地域に応じて、ペット用のレインコートや防寒着を用意しましょう。特に小型犬や短毛の猫は体温調節が難しいため、気候に合わせた準備が必要です。

ペットと離れ離れになった時の対策

災害時にペットがパニックで逃げ出してしまう可能性があります。迷子防止や再会のための準備をしておきましょう。

実際に2011年の東日本大震災では災害時の混乱でペットが逃げ出し飼い主と再開できなかったり、再開に時間がかかる事例が多数報告されています。当時はマイクロチップや迷子札の普及率が低く再会が困難でした。現在は迷子札をQRコードにしたり、GPSなど便利なアイテム沢山ありますので活用してください。

迷子対策

 マイクロチップの装着と登録 : マイクロチップは体内に装着する電子タグで、動物病院で装着出来ます。登録情報を最新に保ちましょう(※)。 マイクロチップが装着されているか不明な場合は動物病院で確認することが出来ます。

※R4.6.1月以降にブリーダーやペットショップで販売された犬猫には装着・登録が義務化されており環境省のデータベースに登録されています。それ以前に購入されたり、保護、譲渡などされた犬猫は努力義務となっておりますので装着されていない場合があります。また、R4.6.1以前にマイクロチップの登録を行い、環境省のデータベースに移行登録(R4.6.30に終了)されていない場合は民間団体のデータベースに登録されています。

※注意:マイクロチップにはGPS機能はついていません。読み取りには専用のリーダーが必要です。(読み取り機は動物病院や自治体の保健所、動物愛護センターにあります。)

 迷子札 : 首輪に飼い主の名前と連絡先を記載。  

  GPS装着 : 災害時に位置情報を追跡できるGPS機器も有効です。単独で位置がわかるタイプは基本的に別途通信契約が必要なものがほとんどです。airtagのような他の通信機器と連携して位置がわかるものはスマートフォンなどが近くにないとわからないものもあります。

※QRコードの迷子札やGPSなどは、災害時においてインターネットが繋がりにくい事があるため、捜索がすぐに出来ない可能性もありますのでご注意ください。

再会に役立つアイテム

  飼い主とペットが一緒に写った写真、連絡先、予防接種履歴、既往歴、かかりつけ動物病院の情報がわかるものを準備しましょう。迷子時の証明や捜索に役立ちます。

避難場所と避難方法の確認

スムーズな避難のために、事前に以下の準備を行いましょう。多くの避難所ではペットの受け入れが認められていません。あらゆる場合を想定して、備えておきましょう。

避難所の確認

 自治体の防災マップやホームページで、ペットと「同伴避難」が可能な避難所を確認してください。ペットが入れない避難所もあるため、事前に把握しておくことが重要です。

同行避難」はペット一緒に安全な場所まで避難すること。「同伴避難」とは、災害発生時に飼い主がペットとともに安全な場所(避難所等)まで避難したうえで、同一施設(避難所等)でペットを飼養することを指します。
ただし、同一施設(避難所等)で飼い主がペットと同一の空間(同室)で居住することを意味するものではありません。刈谷市では避難所のペットの飼育場所は屋外に指定されております。また避難所での状況によってはペットの受け入れが出来ない場合があります。

車内避難の準備

車内避難も想定し、フードや水、トイレ用品を車に常備しておいてください。クレートや毛布も用意しておくと安心です。車中泊が可能な指定避難場所もございますので事前に把握しておいてください。

刈谷市の車中泊避難ガイド(車中泊のためのアドバイスや必要なグッズ、車中泊が可能なグラウンドや公園が記載されておりますのでプリントアウトして持っておくと安心です。)https://www.city.kariya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/015/099/guide-2.pdf

一時預かりの体制

ご近所や親戚に一時的な預かりを依頼できる体制を整えておきましょう。

日頃からのしつけと慣らし

避難時のストレスを軽減するため、普段から以下のトレーニングを行っておきましょう。災害時にペットのストレスによる行動(咬傷事故や鳴き声など)によるトラブルが問題となり、飼い主様が避難所で肩身の狭い思いをする例が報告されています。

キャリーバッグやクレートに慣らす

 普段からキャリーバッグやクレートを安全な場所として認識させ、抵抗なく入れるように訓練してください。

社会化トレーニング 

 他人や他の動物に慣れさせておくことで、避難所でのストレスを軽減できます。

基本的な指示の習得「待て」「おいで」などの指示を覚えさせておくと、避難時の混乱を抑えられます。

飼い主自身の防災準備

ペットを守るためには、飼い主自身の安全が第一です。食料、水、医薬品など、飼い主用の防災グッズも十分に準備しましょう。飼い主が安全でなければ、ペットの命を守ることはできません。

定期的な点検と相談

防災グッズは定期的に点検し、フードや薬の消費期限を確認しましょう。また、動物病院でペットの性格や健康状態に合わせた防災アドバイスを受けることもおすすめです。日頃の健康管理を怠らず、災害に備えた準備を進めておきましょう。

各市町村の災害時のペットの避難所や情報の確認

各市町村では役所やホームページでは地域の同伴避難が可能な避難所や、避難について重要な情報がございますので、最新の情報を取り入れ備えましょう。災害時はインターネットが使用できないこともあります。案内をダウンロードやプリントアウトしておくと安心です。

刈谷市 ​​https://www.city.kariya.lg.jp/kurashi/anshin/1019752/1002832.html

刈谷市のサイトではペットの防災手帳を作成できたり、車中泊避難ガイドもございます。

このように同伴避難所の案内やペットの情報など記載できる手帳をダウンロードして作成することが出来ます。

大府市https://www.city.obu.aichi.jp/kurashi/sumai/pet/1021069/1021167/1002089.html

東浦町https://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/soshiki/kankyo/junkangata/gyomu/inuneko/1507625579837.html

知立市https://www.city.chiryu.aichi.jp/soshiki/shimin/kankyo/gyomu/4/inuneko/1614667931755.html

名古屋市https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000006157.html

愛知県https://www.pref.aichi.jp/soshiki/eisei/0000067493.html

環境省https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html

最後に

犬や猫のための防災グッズの準備は、災害時の命を守るだけでなく、飼い主の安心にもつながります。フードやトイレ用品、健康管理グッズ、快適さを保つアイテムをバランスよく揃え、避難所の情報やしつけも怠らないようにしましょう。いざという時に慌てず行動できるよう、今から準備を始めて、愛するペットと安全な避難生活を送れるよう備えましょう。当院では、防災グッズやペットに合わせた避難アドバイスを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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